変形性膝関節症のリハビリ~痛みとつきあいながら、できるだけ動く~
ブログ2025.09.05

こんにちは!理事の下村薫です。
暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
この季節は局所的な豪雨や台風での強い雨も多いですが、雨が降るとお身体の慢性的な痛みが増してしんどいという方もいらっしゃいますよね。
「階段を降りると痛みを感じるので怖い」
「買い物の帰りに膝がズキズキする」
そんな症状にお心当たりのある方は「変形性膝関節症」の可能性があります。
痛みがあると動くのも気が進まなくなってしまいますが、今後のお身体のことを考えると早期受診とリハビリでの膝の負担軽減が大切な病気です。今回は“痛みとつきあいながら、できるだけ動く”変形性膝関節症のリハビリについてお話していきます。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、主に膝の軟骨がすり減ることで、膝の痛みなどの症状を引き起こす病気です。
多くの場合は加齢や長年の負担が原因で発症し、高齢者に多くみられます。
痛みの症状は主に膝の内側に出るのが特徴で、初期は「歩き始めに痛みがある」「階段を降りる際にズキッとくる」といった症状からはじまり、進行すると正座や立ち上がりが困難になってきて最終的には外出も億劫になってしまうことも。

しかし、ここで動かなくなってしまうと筋力や柔軟性が落ち、ますます痛みが出やすくなってさらに動かなくなり、筋力が落ちて……という悪循環に陥ってしまいます。
特に高齢者の場合、筋力が落ちると将来的な要介護リスクが高まる「ロコモティブ・シンドローム(ロコモ)」のきっかけになりやすいため、早めに診断を受けて、痛みにめげず対策していくことが大切です。
“痛みとつきあいながら、できるだけ動く”
それがこの病気のリハビリのポイントなのです。
リハビリの目標は「動ける力を守ること」
変形性膝関節症は完全に治すことが難しい病気ですが、進行をゆるやかにしたり、痛みを軽くしたりすることはできます。

重症になると手術が必要になる場合もありますので、できるだけ早めに受診し、安定した状態にして、ご自宅でのリハビリで動ける力を守っていきましょう。

ご自宅でのリハビリの目標
- 痛みをコントロールしながら「動く時間」を確保する
- 太ももの筋力や関節の柔らかさを保つ
- 膝をかばいすぎて他の関節に負担をかけないようにする
「無理せず、でもやめない」それがご自宅でのリハビリのキーワードです。
変形性膝関節症を悪化させない!膝にやさしい動き
日常的に膝に負担をかける動きを続けていると、知らないうちに変形性膝関節症を悪化させてしまうことも。
普段の動きの癖を少し改善するだけでも膝にやさしい動きになりますので、意識して行動してみましょう。
膝に負担をかける動きのクセと改善ポイント

膝に痛みがあるとどうしても「膝をかばう動き」になってしまいますが、それがかえって体のバランスを崩すことにつながるケースはよく見られます。
長期的に見ると他の部位に痛みが出てしまうこともありますので、日常的な動作の癖を見直すことはとても大切です。
お身体の動きについてはご自身で客観的に見ることが難しい場合も多いため、痛みがある場合や膝の曲げ伸ばしの制限を感じる場合には、一度お気軽にご来院ください。
自宅で簡単にできる!リハビリのおすすめトレーニング
ご自宅で簡単にできるリハビリのトレーニングを3つご紹介いたします。
変形性膝関節症ではない別の病気が隠れていることもありますので、自己判断で悪化させないよう、医師の診断・指導を受けたうえでリハビリに取り組むことがおすすめです。
また、痛みが強い日は無理をせず、調子がいい日や身体を温めたあとにリハビリトレーニングを行うようにしましょう。
テレビを見ながらでもOK!「膝伸ばしトレーニング」

- 座ったまま、お腹に力を入れて片足をまっすぐ伸ばします。
- 太ももの前の筋肉を意識して、太ももに力を入れて5秒キープしましょう。
これを10回行います。
寝る前でも簡単にできる!「長座ストレッチ」

- 床やベッドで足を延ばして座り、長座の姿勢になります。
- 膝を軽く押して、少し伸びる感じをキープします。
この時、無理に反らせないのがコツです。
その場でできる!「足踏み運動」

掴まる所を確保して、その場で足踏みをするだけ!
膝を少し上げるだけでも効果があり、転倒予防にもつながるためおすすめです。
「痛み=安静」だけではない!正しく動いて、膝を守ろう
痛みがあると、つい「もう動かないほうがいい」と思ってしまいます。
しかし、動かないことこそが筋力や関節機能の低下につながってしまうのです。
変形性膝関節症の場合は、自分に合ったやり方で、少しずつでも「動き続ける」ことが大切です。
痛みとうまくつきあいながら、これからもできるだけ自立した生活を守っていきましょう。

草花クリニックでは「膝が痛む」といった身体のお悩みも、病状に応じて専門医のご案内や継続した受診で自立した生活を長く続けられるよう、お手伝いいたします。
お気軽に受診ください。