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高齢者に多い骨折~転倒防止で予防~

ブログ2023.03.07

高齢者に多い骨折~転倒防止で予防~

こんにちは!理事の下村薫です。
近所に梅が咲いていて、春の訪れが近いことを感じます。
段々とあたたかくなってきて活動もしやすくなるこの時期、気を付けたいのが「骨折」です。

特に高齢の方は、寒くて活動量が減った状態から急に体を動かすことで、骨折などのケガに繋がってしまう場合があります。骨折は寝たきりの状態や、介護が必要になる原因となる場合があるため、予防や治療をしっかり行って健康寿命を延ばしていきましょう。

今日は高齢者の、中でも女性に多い骨折「脊椎圧迫骨折」と「大腿骨近位部骨折」についてお話したいと思います。

転倒で骨折!腰痛や股関節の痛みの原因に

脊椎(背骨)の骨折を「脊椎圧迫骨折」、太ももの付け根の骨折を「大腿骨近位部骨折」と言います。

脊椎(背骨)の骨折「脊椎圧迫骨折」

年齢を重ねると共にもろくなった骨は、軽い転倒などの衝撃はもちろん、重いものを持ち上げようとしたり、長時間畑作業をしていたりなど、日常の生活の中でも折れてしまう可能性があります。
元々骨粗鬆症の既往がある方や女性がなりやすく、ご高齢の方ほど注意が必要です。

腰痛や動けなくなることも……骨折の症状とは?

太ももの付け根の骨折「大腿骨近位部骨折」

脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折は、「腰転倒後に起き上がれない・歩けない」「腰や股関節に激痛がある」などの症状で受診される方が多いです。

痛みを伴わない場合も、そのまま放置すると骨のズレにより後から痛みを感じたり、他の部位にダメージを与えてしまったりすることがあるため、早めの受診が大切です。
単純X線画像(レントゲン)などの画像検査で診断します。

脊椎圧迫骨折の治療

脊椎圧迫骨折の治療は、コルセットの着用や消炎鎮痛薬など、保存的な治療が多いです。
手術が必要な場合は、骨折した椎体をバルーンで整復して骨セメントを注入する椎体形成術や後方固定術を行います。

椎体形成術

骨折する前と同じように動けるようにするためのリハビリも大切です。
脊椎圧迫骨折では腰痛の経過を観察しながら歩行訓練や、コルセット装着により不自由な状態での起き上がり動作などの基本動作訓練を行います。

大腿骨近位部骨折の治療

大腿骨近位部骨折の治療は、骨折する部位によって変わります。
特に多いのが「大骸骨頸部骨折」と「大腿骨転子部骨折」です。

どちらも手術となることが多く、大腿骨転子部骨折では髄内釘やプレートを用いた骨接合術を、大腿骨頸部骨折では骨接合術や人工骨頭置換術を行います。

手術後は身体能力の低下などを防ぐ「廃用予防」のため、早期からのリハビリや、骨折の原因となる骨粗しょう症の治療をはじめていきます。

リハビリは段階的に行い、可動域訓練、筋力増強訓練、バランス訓練、歩行訓練などが主です。

リハビリ

高齢の方は筋力が弱っていることが多く、術後脱臼しやすくなる傾向があるため、可動域訓練は慎重に行います。術後の部位に体重をかけはじめるタイミングも、その後のリハビリの進捗を決める大切な要素となるため、主治医とセラピストが連携をとって検討していきます。

歩行訓練については、杖や装具を使った練習からはじめ、徐々に屋内から屋外歩行練習へと活動範囲を広げていきます。

転倒防止で骨折も予防しよう

2019年国民生活基礎調査によると、要支援者・要介護者のうち介護が必要となった原因において、骨折・転倒は第4位で12.5%を占めます。
このように、転倒は要介護の状態に繋がってしまうことも少なくないため、予防をしっかりと行っていくことが大切です。

要介護になった原因

転倒の原因は大きく分けて3つあります。
3つそれぞれの予防についてご紹介いたします。

(1)加齢による筋力や平衡感覚の低下

筋力や平衡感覚の低下は、リハビリや筋力トレーニングなどで改善していきます。

筋力トレーニングやウォーキング

筋力トレーニングや姿勢改善トレーニングの方法については以下の訪問リハビリテーション科の記事でも詳しくご紹介しておりますので、是非ご一読ください。
ロコモ予防に貯筋で運動習慣を!
【リハビリ講座#1】姿勢改善ストレッチ

(2)身体的疾患

目や耳が不自由な場合にも転倒リスクは高まります。白内障の治療や補聴器装着も検討していきましょう。
起立性低血圧などの循環器系疾患や、認知症、パーキンソン病などの神経疾患、リウマチや変形性関節症などの筋骨格系の疾患がある場合も注意が必要です。

(3)薬剤によるもの

降圧薬や睡眠薬でふらつきが生じることで、転倒に繋がる場合もあります。
お薬の整理を行いますので、お気軽にご相談ください。

さらに、上記の3つにあわせて、屋内の環境を整えることも大切です。

  • つまずきやすい場所への手すりや台、灯りを設置する
  • 布団からベッドへ変える
  • ポータブルトイレを使用する
  • 電気製品のコードや、座布団・じゅうたんのめくれなどを見直す など

筋力や平衡感覚の低下などは、積み重ねで改善していくものです。日頃から転倒しづらい体や環境づくりを意識し、転倒を防いでいきましょう。

草花クリニックまでご相談ください

医師への相談

今回は、高齢者に多い骨折と転倒防止についてご紹介しました。

草花クリニックでは総合診療として、様々な症状を多角的な視点から診察いたします。
激しい腰痛や転倒後の動きにくさなど、お体に関してのお悩みごとがございましたら、お気軽に草花クリニックまでご相談ください。

新型コロナウイルス感染症の流行が続いています。引き続きうがい手洗い、マスク着用など基本的な感染対策を続けましょう。