お酒との上手な付き合い方~スマートに飲める大人を目指して~
ブログ2025.12.03

気温も涼しくなり、段々と冬の訪れを感じますね。
12月に入れば、あっという間に年末年始が近づいてきます。
栄養相談を受けている方からは「11月の中旬から忘年会が始まる」という声も。
クリスマスに始まり、忘年化、新年会と、年末年始は飲酒の機会が増えるという方も多いのではないでしょうか。
お酒は「百薬の長」と呼ばれる一方、飲み方によっては体に悪い影響を与えてしまいます。
そこで今回は、草花クリニック管理栄養士が「上手なお酒との付き合い方」を解説いたします。
今のお酒との付き合い方は?
まずは、今のお酒との付き合い方が良い関係か、セルフチェックをしてみましょう。
お酒との付き合い方セルフチェック
(1)空腹や喉の渇きでカラカラの身体へのビールが最高!だと思う
(2)飲酒の回数自体は少ないが、一度に大量に飲んでしまう
(3)飲酒中や飲酒後、水やお茶をあまり飲まない
(4)顔や体が赤くなっても飲酒を続ける
(5)4時間以上の長時間の飲酒をする
(6)飲んだ次の日は朝食を食べない
(7)休肝日が週1日以下
(8)日頃の食事の量や時間がバラバラ
皆さんは、いくつ当てはまりましたか?
3項目以上当てはまった方は、イエローカードです!
お酒との付き合い方が上手くいっていないかもしれません。
特に、(3)・(4)・(7)・(8)に1つでもチェックの入った方は、1発レッドカード!
この4つは特に、生活習慣病になりやすい項目です。

各チェック項目についてご紹介いたしますので、スマートにお酒を楽しめる大人を目指して、お酒との付き合い方について今一度考えてみましょう。
お酒を飲む時のNG習慣
(1)空腹や喉の渇きでカラカラの体へのビール
「カラカラの体にキンキンに冷えたビールが最高に上手い!」というのは、栄養相談では本当に良く聞くワードです。
しかし、ご存知の方もいらっしゃる通り、その習慣は絶対にNGです。

空腹や脱水状態で胃が空っぽになっているとアルコールは胃に留まりにくくなり、胃よりもアルコールの吸収速度が早い小腸から吸収されます。
つまり空腹だと、より早く体内にアルコールが吸収されてしまい、血液中のアルコール濃度が急上昇し、酔いが回りやすくなってしまうのです。「空腹時のお酒を飲むのは控えましょう」と言われているのはこのためです。
お酒を飲む時は、一緒に食事をとることを心がけましょう。
胃に食べ物が入る分、アルコールがゆっくり吸収されます。
(2)一度に大量にお酒を飲む
「飲むと決めた日はとことん飲む!」というタイプの方もいらっしゃいますよね。
飲酒回数が少なく、肝臓を休ませているから平気だと信じたいところですが、実は日々少量ずつ飲むよりも、週末などにまとめて大量に飲む方が体への負担が大きくなります。
一度に大量に飲むと体内のアルコールの処理が追い付かなくなり、急性アルコール中毒になるリスクが高まります。

また、飲酒量が同じでも週に一回大量飲酒する人と週三回以上飲む人とでは、週三回以上で少しずつ飲む人の方が心筋梗塞のリスクが三割減少したという例も報告されています。
お酒を飲む時は、短時間で大量に飲まないように気を付けましょう。
(3)飲酒中や飲酒後、水やお茶をあまり飲まない【要注意】
お酒を飲むと「水分補給した気持ちになってしまう」という方も多いと思いますが、アルコールには利尿作用があるため、飲めば飲むほど体の水分量が減って脱水状態になっていることはご存知でしょうか?
脱水状態になると、「翌日の二日酔いが悪化する」「むくんで体温を下げて脂肪が付きやすい体になる」など、後に影響が出てしまうこともあります。

和らぎ水(チェイサー)を用意し、飲んだアルコールと同じだけの水を飲むことがおすすめです。
時々水を飲むことで体内のアルコール濃度の上昇を抑え、深酔いを防いだり、脱水症状を予防したりすることにもつながります。
(4)顔や体が赤くなっても飲酒を続ける【要注意】
お酒を飲んで顔が赤くなるのは、アルコールの分解酵素をもっていない、または、分解酵素の働きが弱い、いわゆる「お酒に弱い体質の方」に多い反応です。
自分では気づきにくい反応ですが、トイレに行った際などに鏡で顔色を確認してみましょう。

お水を飲むことで体内のアルコール濃度の上昇を抑えることができますので、ご自身はもちろん、他の方がお酒で顔が赤くなっている場合にも、お水を勧めてみてはいかがでしょうか。
(5)4時間以上飲酒をする
アルコールの分解スピードは体重60kgの方の場合、ビール350ml缶約1本を分解するのに約3~4時間かかると言われていますが、個人差があるうえ、体調などでも変わってきます。
長い時間飲み続けると、どうしてもお酒の量が増えてしまいますが、お酒の量の増加に伴ってアルコールの分解に必要な時間も長くなるため、翌日になってもアルコールを代謝しきれず、二日酔いになる可能性も高くなります。
楽しい時間は長く続いてほしいものですが、程よいタイミングでお酒を切り上げることも上手なお酒との付き合い方なのかもしれません。
(6)飲んだ次の日に朝食を食べない
年末年始にお酒を飲む際は美味しい食事がセットになる場面も多いですよね。
「食べ過ぎが気になるから、次の日は食事をせずにリセットする」「胃の調子がよくないから次の日は朝食を食べない」という方は、改善が必要です。

食べ過ぎ・飲みすぎの次の日も朝ごはんから3食食べることが体のリセットへの近道。ほんの少しでも良いので、是非、翌日の朝食は食べるようにしましょう。
以前リリースしたブログ「食べすぎた!飲みすぎた! そんなときのリセット食事方法♪」でも、おすすめの食事内容などを解説しておりますので是非ご覧ください。
(7) 休肝日が週1日以下【要注意】
お酒の代謝をしているのは、代謝、解毒作用、胆汁の生成・分泌など多くの役割を持っている肝心かなめの「肝臓」です。
普段の働きに加え、お酒を飲んだ日は「アルコールの分解」という仕事が追加された状態に。体重60kgの方の場合、ビール350ml缶約1本分のアルコールを分解するのに約3~4時間かかるため、肝臓は夜お酒を飲んで本人が寝た後も残業を黙々こなしていることになります。

毎日この過度な働きを強いていると、あなたの身体は肝臓にとってのブラック企業となってしまいます。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、傷んでいても症状が出にくく、知らない間に病気が進行していることも少なくありません。
知らない間に息絶えてしまう可能性も……。

肝臓は2日間を目安に休ませると、機能が回復すると言われていますので、「肝臓にも週休2日制」を心がけてみましょう。
(8)日頃の食事の量や時間がバラバラ【要注意】
普段仕事が忙しかったりすると、食事量や時間がバラバラになってしまいがち。
一見、お酒に関係がない習慣に見えますが、基礎体温や基礎代謝の低下、自律神経の乱れを引き起こしやすくなっているため、その状態でお酒を飲むと次の日のリカバリーの体力がなかったり、お酒の代謝が遅くなったりと、酔いがまわりやすく、お酒が抜けにくい体になりやすくなってしまいます。

毎日できるだけ決まった時間に一定量の食事を食べることが、上手なお酒との付き合いの第一歩かもしれません。
上手なお酒との付き合い方で生活習慣病を予防
最初に、生活習慣病につながりやすいため「(3)・(4)・(7)・(8)に1つでもチェックの入った方は、1発レッドカード!」とお伝えしていましたが、あらゆる病気の原因とされる生活習慣病の予防のためにも、自分の飲酒習慣の見直しが重要です。
飲酒機会の多くなる時期に向けて、飲酒習慣を見直し、スマートにお酒を楽しめる大人を目指してみませんか?

草花クリニックでは、外来での栄養指導はもちろん、オンラインでの栄養相談も行っております。
生活習慣病の予防をはじめ、食事面で改善のお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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