認知症?物忘れ?2つの症状の違い
お知らせ2025.10.29

こんにちは!理事の下村薫です。
年を重ねると、誰でも少しずつ「もの忘れ」が増えていきます。
「昨日の夕飯、何だったっけ?」「鍵をどこに置いたか忘れた」など、物事を思い出せない経験は多くの人に出てきます。
しかし「認知症」と加齢による物忘れとは違います。
ここでは認知症の症状をはじめ、認知症と物忘れの違いなどをわかりやすくご紹介します。
認知症と物忘れの症状の違い
加齢に伴う記憶力の衰えやストレス、睡眠不足、薬の影響など、物忘れの原因となるものはたくさんあり、物忘れが気になっても必ずしも「認知症かも」と不安になる必要はありません。
物忘れなのか、認知症なのか、ご自身やご家族の症状を見てしっかりと見極めて、それぞれにあった対応をしていくことが大切です。
認知症と物忘れの違いは、大きくわけて「体験を忘れてしまう度合い」「ヒントで思い出せるか」「生活に支障が生じるか」の3点が目安になります。

具体的な認知症の症状も見ていきましょう。
認知症の症状とは
認知症の症状には、物忘れ以外にも様々な症状が見られることが多いです。
大きく分けて、中核症状と周辺症状の2つに分けられます。

①病気そのものによって起こる「中核症状」
物忘れや、現在の年月・時刻・自分の現在地などの見当識の低下、言語や判断の障害。
②中核症状に伴って現れる心や行動の「周辺症状」
不安、うつ、興奮、妄想、徘徊など。本人や周囲の生活に影響を与えることがあり、対応やサポートが大切です。
認知症の日常生活の変化をチェックリストにしてみましたので、こちらも是非一度確認してみましょう。身近にご家族がいらっしゃる場合には、ご家族視点の意見も取り入れてみることがおすすめです。
認知症チェックリスト
- 同じことを何度も言ったり聞いたりする。
- 財布を盗まれたと言う
- 金銭管理ができなくなる
- 食事の準備などにおいて複数のことを同時に行えなくなる
- 同じ服、同じ食事など生活パターンが単純になる
- だらしなくなる
- 服薬管理ができなくなる(残薬が目立つ)
- 受診予約日を間違える
- トラブルに巻き込まれる
- 判断を家族に委ねる
ご本人の気持ちや身近な家族の心配、それぞれとても大切なものです。
不安を感じたら一人で抱え込まず、まずは当院へお気軽にご相談ください。
4大認知症
認知症を起こす疾患はたくさんありますが、それぞれ症状や対応が異なります。
今回は、代表的な4つの認知症についてご紹介します。
(1)アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、まず「最近あった出来事を忘れてしまう」「話したことをすぐに忘れてしまう」など、物忘れなどの記憶の症状が目立つようになります。

診察室では、医師の質問に対して絶えずご家族の方を振り返り助けや同意を求める「ヘッドターニングサイン(head turning sign)」と呼ばれる様子が見られることが多いです。
一方で、感情の感情のコントロールや歩くなどの体の動きは、病気が進むまでは比較的保たれることが多い傾向にあります。
また、「財布を誰かに盗まれた」といった「物盗られ妄想」のような症状が見られることも。本人にとっては本当に起きていることのように感じられるため、否定せずに安心できる声かけやサポートをすることが大切です。
(2)レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は物の位置や形が分かりにくくなる視空間認知障害の症状によって、道に迷う、服の前後を間違える、物に手が届かなくなるなどの症状が見られる他、手足の動きは問題がないのに正しい操作や配置、描画が難しくなる構成失行が見られ、パズルを組めなかったり、絵や文字盤を正しく描けなかったりする例があります。

また、特徴的なのは人や動物など、実際にはいない「幻視」が見えることもあります。本人は本当に見えていると感じているため、不安になることもあります。
(3)血管性認知症

血管性認知症の場合、「階段的進行」と言って症状が徐々に進むのではなく、段階を経て急に悪化することがあるのが特徴です。
また、無気力や無関心といった精神面の変化が見られることもあり、これにより日常生活への意欲が低下することがあります。
(4)前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症では、記憶の障害は比較的軽く、日常生活での忘れ物などは目立ちません。
一方で、性格の変化や抑えが効かなくなる脱抑制、同じ行動を繰り返す常同行動などが特徴的に見られます。

たとえば、場にそぐわない発言をしたり、同じ作業を何度も繰り返したりすることがあります。
認知症のような症状を起こす疾患は他にも
他の病気の影響や、お薬の影響などで認知症のような症状を示すこともあります。
中には原因を取り除くことで認知症が改善することもありますので、認知症の症状に合致したら一度ご相談ください。
認知症は早めの受診を
認知症は完全に治すことが難しい疾患ですが、進行をゆるやかにする薬や、生活を支えるリハビリ・ケアがあります。早めの受診で、できることが増えます。
当法人は通所デイサービスや訪問介護サービス、訪問リハビリテーションなどが充実していますので、気になった症状などがありましたら、お気軽にご相談ください。

また、2025年11月4日(火)の14時からあきる野ルピア3階ホールにて、認知症予防がテーマの「よろず相談」という講演会が開催されます。
当院理事長が相談役として、認知症について解説いたします。
参加費は無料で予約等も不要ですので、ご予定が合う方はどうぞお越しください。
【参加無料】第2回 よろず相談所「認知症予防できることとは?」