家族でできる「床ずれ(褥瘡)」の予防方法
ブログ2025.10.16

こんにちは!理事の下村薫です。
長時間同じ体勢でいることで起きてしまいやすい「床ずれ(褥瘡)」。
一度できてしまうと治療に時間がかかるため「床ずれ予防」は非常に大切な取り組みと言えます。
病状によっては完璧な予防がなかなか難しい床ずれですが、当院では予防に取り組み、19床ある入院ベッドで床ずれの方がいないことが自慢の一つです。
今回は床ずれがどんなものか、そして家でどんな予防ができるのかご紹介いたします。
床ずれ(褥瘡)とは?
「床ずれ」とは褥瘡(じょくそう)とも呼ばれ、同じ場所に長時間圧力がかかることで皮膚やその下の組織が傷んでしまうことです。
特に寝たきりの方や、車いすなどで座ったまま長時間過ごす方に起こりやすく、かかと・仙骨・肩など体の出っ張った部分に現れやすいのが特徴です。

初期の症状は赤みだけですが、気付かず放置してしまうと潰瘍(かいよう)と呼ばれる傷口が深い状態になり、治療が長引いてしまうことも。
最短2時間で床ずれになってしまうこともありますので、床ずれ予防で防いでいきましょう。
家でできる床ずれ予防
床ずれは「圧迫」や「ずれ」、「栄養面」が主な原因となっていることが多いため、その三点を対策することで予防できます。

(1)体位をこまめに変えて圧迫を予防する
床ずれ予防では、2時間に一度を目安に定期的に体位を変えて、同じ部位が圧迫されないように圧力を分散することが大切です。
横向き・仰向け・うつ伏せなど無理のない体勢で工夫して取り組みましょう。

(2)クッションやマットを活用する
床ずれはずり落ちる力などが原因で起きることもあるため、楽な体勢で固定できるクッションなどを活用することもおすすめです。
体圧分散用のクッションやマットを使うと、文字通り圧力を分散してくれるため、特にお尻やかかとの負担を減らせます。

介護保険の認定を受けている方は福祉用具として借りられる場合もあるため、ご自身のケアマネジャーさんに相談してみてください。
(3)栄養・水分の管理をする
食べる量が少なくなると、骨が浮き出てきて同じ部位が圧迫されやすくなったり、傷みを修復する力が弱まったりして床ずれにつながります。

皮膚や組織の修復を行う、肉や魚、豆製品などのタンパク質を十分にとることも床ずれ予防になりますので、積極的にメニューに取り入れることがおすすめです。
また、脱水は皮膚の柔軟性を下げて床ずれになりやすくなるため、水分補給も忘れずに行いましょう。
皮膚チェックで床ずれを初期対応しましょう
2時間で症状が出てしまうこともあるため、ご家族やご自身が気を付けて床ずれ予防を行っていても、完全な対策が難しい場合も少なくありません。
できるだけ初期の段階で対応できるように、床ずれになっていないか毎日皮膚をチェックしていきましょう。
床ずれ防止!皮膚チェック
- 赤み・かたさ・熱感がある
- かゆみや痛みがある
- むくみ(浮腫)がある
- 深い傷(潰瘍)や水ぶくれができている
皮膚にこれらの変化がある場合は、お早めに当院にご相談ください。その際、経過の写真を撮っておくと変化がわかりますので参考になります。
Q&A 床ずれのよくあるご質問
Q1.マッサージしてもいいですか?
優しく、圧を分散する程度のマッサージなら問題ありませんが、力加減を間違えて強くこすってしまったり、皮膚が弱くなっているご高齢の方に行ったりする場合には逆効果になってしまうこともあります。
まずは当院へご相談ください。
Q2.ベッドの高さも床ずれに影響しますか?
床ずれの予防をされる場合には、ベッドの高さよりもマットレスの硬さなどが影響しやすいため、最適なマットレスに変更することも効果的です。

ベッドの高さは体位を変えやすい高さに調整することで、介助するご家族の負担が少なくなります。体位の変更はこまめに行う必要がありますので、ご家族の負担を少しでも減らせるよう、高さ調整ができる介護ベッドの貸し出しについても、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
日々の工夫が大切な方の健康を守る
床ずれは「DESIGN-R®」という指標で症状の評価をしていきますが、DESIGN-R®には深さや大きさの度合い以外にも、「炎症/感染」「壊死組織」という項目があります。

重症化してしまうと細菌に感染したり、壊死したりする危険性も出てきますので、チェックや予防を続けることが重要です。
日々のちょっとした工夫が、大切な方の健康を守ります。
ご家族だけで抱え込まず、床ずれ以外でも気になる症状がありましたら、お気軽に当院へご相談ください。
地域のかかりつけ医として、誠実に対応いたします。