ホーム > お知らせ > 猛暑の食中毒予防!2日目のカレーに要注意!

猛暑の食中毒予防!2日目のカレーに要注意!

ブログ2025.07.22

猛暑の食中毒予防!2日目のカレーに要注意!

こんにちは!
今年も気温・湿度ともに高く、暑い季節がやってまいりました。

栄養相談では「やっぱり2日目のカレーはコクがあっておいしい」という声をよく耳にします。
調理してから時間が経ったカレーは野菜や肉などから「うま味成分」が溶けだし、コクが出ることが美味しさの理由です。多めに作って、2日目も楽しんでいるという方も多いのではないでしょうか。

しかし、気温の高いこれからの時期は「2日目のカレーが原因の食中毒」に要注意!!

2日目のカレーが原因の食中毒」に要注意!!

カレーなどの煮込み料理は「ウェルシュ菌」が原因の食中毒を起こしやすい食品で、保存方法の工夫で食中毒予防ができます。
今回は暑い季節に多いウェルシュ菌の食中毒について見ていきましょう。

2日目のカレーの食中毒は「ウェルシュ菌」が原因

カレーをはじめとした煮込み料理で腹痛・下痢などの食中毒を起こす原因となりやすいのが「ウェルシュ菌」です。
ウェルシュ菌は土や水の中、健康な人や動物の腸内など自然界に生息している細菌で、特にカレーの材料としても良く使われる牛・鶏・魚が保菌していること多いです。

この菌が食中毒の原因になりやすい理由は主に2つあります。

熱に強い

100度の加熱でも生き残る

一般的に菌は熱に弱いものが多いとされていますが、このウェルシュ菌は熱に強く、100℃の加熱でも生き残る特性があります。そのため、通常の加熱調理だけでウェルシュ菌を死滅させることは困難です。

常温のカレーは温度が約12~50℃とウェルシュ菌が好む環境で、知らないうちに菌が増殖していることも……。「たくさん加熱したから大丈夫」「定期的に加熱しているから平気」と考えていると、危険です。

臭いや味で気づきにくい

味や臭いもほぼ変化しない

ウェルシュ菌が増殖しても味や臭いがほぼ変化しないため、気付きにくいのも特徴です。

一度に大量の食事を調理する給食施設などで発生しやすいことから別名“給食病”とも呼ばれ、気付かずに口にしてしまい、患者数の多い大規模食中毒事件を起こす事例も多いです。

食中毒予防におすすめのカレーの保存・再加熱方法

ウェルシュ菌は自然界に常にいる菌のため、食品への混入を完全になくすことは難しく、感染防止の最も有効な手段は「菌を増やさないこと」だと言われています。

カレー以外でも煮物やシチューなどの煮込み料理でウェルシュ菌の食中毒が発生しやすいため、煮込み料理全般で保存方法や再加熱の仕方に注意しましょう。

その日のうちに食べきる

カレー

菌を増やさないための施策としてまずおすすめなのは、常温(15℃~25℃)のまま放置せず、できるだけその日のうちに食べきることです。

ウェルシュ菌が増える温度は約12~50℃とされており、常温のまま長時間放置すると、ウェルシュ菌が増殖してしまいます。
増殖する前に、できるだけ早く食べきるようにしましょう。

小分けにしてできるだけ早く冷ます

カレーは小分けにして冷やす保存方法がおすすめ

「1日でカレーを全部食べ切ることが難しい」と言う場合は、鍋のままではなく小分けにして、あら熱をできるだけ早く取り、速やかに冷蔵庫や冷凍庫で冷やしましょう
小分けにする際には底の浅い平たい容器や保存用の袋を活用すると、温度が早く下がりやすくなります。

温める時に電子レンジを使わない

カレーの過熱に電子レンジを使わない

「お鍋で温め直すと焦がす心配もあるから」と温めに電子レンジを使用している方もいらっしゃいますよね。中には「電子レンジでは加熱ムラができて、中心まで加熱できなかった」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
せっかく保存時にウェルシュ菌の増殖を抑えたとしても、再加熱時にウェルシュ菌が好む温度帯となって増殖させてしまう可能性もあるため、カレーを温める時は「電子レンジを使わない」のもポイントです。

温める時は必ず鍋に移しておたまで鍋底までまんべんなくかき混ぜるようにしましょう。こうすることで中心部までしっかりと過熱されるため、ウェルシュ菌が増えにくくなります。

「食中毒予防の三原則」知っていますか?

ウェルシュ菌以外にも、食中毒の原因となる菌はたくさんあります。
食中毒予防の三原則」を守って、菌が増殖しやすい夏の食中毒を予防しましょう。

食中毒予防の三原則

(1)「付けない」(菌を他の食品に付着させない)

菌を付着させないために手を洗う

手をしっかり洗う

人の手には様々な菌が付着していることが多いため、まずは「自分の手の菌を洗い流すこと」が食中毒予防への第一歩です。

食材を取り扱う前と後に、手をしっかりと洗いましょう
手のひら、手の甲、指、爪、手首まで石けんを泡立てて洗い、流水で十分に洗い流すことが大切です。

調理器具を衛生的に

調理道具の衛生にも気をつけましょう。
例えば、まな板の上で肉を切った後、しっかり洗わずに生で食べる野菜を切ってしまうと、肉に付着した菌が野菜についてしまいます。野菜を切ってから肉を切るなど順番を考えて調理するようにしましょう。

生で食べる食品用と肉・魚用でまな板を分けるのも良い方法です。
また、フリーザーバッグやポリ袋、ラップなどの再利用も避けましょう

(2)増やさない(菌が増殖する環境に置かない)

菌を増やさないために温度管理をしっかりする

食品の温度管理は、食中毒の原因となる菌の増殖を抑えるために非常に重要です。
冷蔵・冷凍食品は、できるだけすぐに冷蔵庫・冷凍庫に入れましょう

また、冷蔵室に食品を詰め込みすぎると温度が高くなって菌が好む温度になってしまうことがあります。
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に保てているか温度計で測り、温度が高いようであれば容量を減らす工夫をしましょう。

ただし、冷蔵庫に入れておいても細菌が死滅するわけではありません
長期間にわたる保存は避け、早めに使いきることを心がけてください。

(3)やっつける(殺菌・消毒して死滅させる)

菌をやっつけるため、加熱をする

今回ご紹介したウェルシュ菌は熱に強い特性がありましたが、多くの細菌は、75℃以上で1分以上加熱することで死滅します。

そのため、十分に加熱調理すれば大抵の食中毒は防ぐことができます。
食材の中心部までしっかり火を通すようにしましょう。

食中毒の症状がある場合は病院を受診ください

万一、嘔吐や腹痛、下痢など食中毒が疑われる症状が出てしまったら、病院を受診しましょう。

下痢や嘔吐がある場合の応急処置としては、体に必要な水分が失われやすいため、水分を取ることがとても大切です。
体が吸収しやすい経口補水液やスポーツドリンクを水で薄めて水分補給をすることがおすすめです。

看護師

暑い時期は体にさまざまなストレスがかかるため、熱中症や水分不足、夏バテなどさまざまな危険と隣り合わせです。
食中毒によって体力を消費し、別の体調不良に繋がってしまうケースもありますので、積極的に食中毒予防の工夫をしていきましょう。

お身体に気になる不調がありましたら、お気軽に受診ください。