人をまるごと診る「総合診療専門医」とは
ブログ2025.07.17

こんにちは!理事の下村薫です。
皆さまは「総合診療専門医」という言葉を聞いたことがありますか?
日本の医療制度のなかではまだ新しい存在ですが、実はとても重要な役割を担っています。
今回は、総合診療専門医とはどんな医師なのか、その背景もあわせて見ていきたいと思います。
「総合診療専門医」とは
「専門医」と聞くと、心臓なら循環器内科、胃腸なら消化器内科というように「ある特定の臓器や病気」に詳しい医師を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、現実の医療現場では様々な患者さまが来院されます。
たとえば、
- 複数の病気を抱えたご高齢の方
- 原因がはっきりしないけれど体調がすぐれない方
- 不眠や不安がきっかけで体調不良になられた方 など
こういった患者さまの場合、特定の臓器だけを診察しても原因を特定しにくいケースがたくさんあります。
そんな時に活躍するのが、全身を幅広く診る「総合診療専門医」です。

イギリスの制度をモデルに、現代日本に必要な専門医へ
「総合診療専門医」は、2018年に日本専門医機構が基本領域の19番目に正式に認定した、比較的新しい専門医です。

この専門医が生まれた背景は、日本のこれまでの医療の仕組みにありました。
日本では高齢化や医療の複雑化が進んでいることから、これまでのように患者さま自身で必要な専門医を探すことが難しくなりつつあります。
そこで注目されたのが、イギリスの「GP(General Practitioner)」つまり「家庭医(かかりつけ医)」の制度です。
イギリスでは、まず住民をGPが診察し、必要があれば専門医につなぐ仕組みがあります。この仕組みをモデルにすることで、日本の複雑化した医療をスムーズに機能させやすくなると考えたのです。
以前「健康を守るパートナー「かかりつけ医」」でもご紹介した「かかりつけ医」が似た仕組みを持っていますね。
総合診療専門医は、まさにかかりつけ医の中核を担っています。

健康を長期的に見守り、スムーズに医療を受けられることから年々注目されるかかりつけ医。その中核を担う総合診療専門医は、今求められている新たな専門医と言えるでしょう。
どんな時に総合診療専門医にかかればいいの?
総合診療専門医は、病気だけでなく「人」を診ることを大切に、一人ひとりの生活背景や価値観に寄り添いながら、適切な医療や支援につなぐ役割を果たしています。
何か体調面で困ったことがあれば、まずは総合診療専門医へご相談ください。

こんな時も総合診療専門医へ
- 医療・介護・生活のすべてをふまえた相談をしたい
- 地域で安心して暮らし続けるために、医療とのつながりを持ちたい
- 複数の病気が絡んでいて、どの診療科に行けばよいかわからない
- 検査では異常がないけれど、体調がすぐれない など
当院では総合的に患者さまを診る姿勢を大切にしており、総合診療専門医も2名在籍しています。
近隣病院の専門医と連携をとりながら、様々なアプローチで人をまるごと診ることをより意識した医療を目指し、これからも地域のかかりつけ医となれるよう努めてまいります。
何か体調への不安などございましたら、お気軽にご来院ください。